2007年 11月 15日
レース後からずっと落車のシーンが頭に焼き付いたままだけど,気持ちはだいぶ落ち着いて,“痛かった”思い出よりも楽しかった沖縄旅行の思い出が日増しに大きくなってきた. というところで,前日や当日スタート前からの経過はまたあらためて書くとして,反省と自身への教訓として忘れないためにも落車の原因と詳細を書き残してみるか. 登り口から普久川ダムへ向けて集団の先頭をキープして快調に走っていた. 脚も心臓もよく回り,意外なほどに調子がよく,“下見がてら気持ちよく完走”のつもりが“あわよくば...”と色気が出てしまったのがそもそもの発端だったのか. 山頂付近で集団先頭のペースが緩んだ隙に左右からドドドっと数人に前に出られ,そのまま下りに入ると目の前の高校生らしき(“何とか高”ってジャージに書いてあった)選手が左右に不安定な動きをして,しかも遅く,前の数人とちょっと距離があいて,“危ないから早く彼の前に出よう”と気が焦ったのが最大の失敗. 下り出してたぶん2つめの右カーブ入り口で,隙を見て前に出ようと車間距離を詰めた瞬間,その選手が急に減速してまた急にラインを変えて右に切れ込んできた. “集団で下ってるのにアウトインアウトするか!?”と思った時は時既に遅し. 加速していた自分はすぐにはそれ以上右に逃げることができず,前輪を彼の後輪にハスってしまった. 当然コントロールを失って,転倒は避けたものの真っ直ぐ立て直した自転車は当然コーナーの外に真っ直ぐ突き進んだ. その時の時速はポラールのデータから52.5km. このスピードで壁に突っ込んでよくも無事だったものだ... もちろん正面衝突じゃなくて斜めだけどね. 勾配は5~6%ってとこだろうか,もちろんブレーキをかけることは試みたものの止まれるはずもなく,側溝を飛び越えるために解除したからあまりスピードを落とさず突っ込んだんだろう. その後座って次々に降ってくる自転車を見てると怖いほどで,10台以上の集団が来るとカーブの向こうからゴーっとうなりを上げて,車が来たのかと思うような音と勢いで下ってきていた. その後少し下の方で単独で滑ってコケた選手もいて,助けに走ろうと思ったらすぐに立ち上がって再スタートしていった. スピードも落ちていてガードレール手前で止まったから怪我は擦過傷程度だろう. でもむしろ俺より出血しただろうし,パンツは破れ,自転車も傷だらけに違いない. ほぼ無傷でリタイヤと傷だらけで完走とどっちがよかったんだろう!?結構微妙... 今年は例年になく,いくつかの平地基調のレースに出たけど,常に念頭にあるのは“動きが怪しい自転車の後ろに付かないこと”そして“常に集団の先頭付近に位置して落車に巻き込まれないようにすること”で,富士でも鈴鹿でもあれだけの人数の集団でも危なげなく走れて,それが自信にもなったけど,いつのまにか過信になっていたんだろう. その先下りは長いんだからあんなに焦ることないのに,ちょっとイライラして車間距離を詰めてしまったのは自分のミスだし,前車の急減速とライン変更に反応しきれなかったのは集中力に欠けてこともあるだろう.それ以前に下りに入る前ににもっと前に出なかったことが最大の失敗. 今更何を言ってもしかたないけど,失敗の原因がはっきりわかってるだけに悔しいし情けない. あそこであんなに焦ったのは,ツールド沖縄を初めて走り,コースは知らないし,ペース配分もわからないことからの不安が大きかったのもあるし,ロードレース自体の経験不足というところなんだろうな. それにしても今思えば人間ってのはたった1秒かそこらの間にいろんなことを考えれるものだと感心したし,最後の最後までパニくらず,目を閉じる事なく最善を尽くした. コースアウトしながら驚くほど冷静で,とにかくカーブを曲がりきれないことを確信してあきらめた時点で頭に浮かんだ選択肢は3つ. まずはコケて数メートル先のガードレールに突っ込む →これは最悪.骨折か下手すればガードレールで手足を切る可能性も. 2つ目は転ばずにガードレールに真っ直ぐ突っ込んで自分はその先の林にダイブ →自転車は大破するが,自分の体は草木がクッションとなって助かる.しかし,下手すれば突き出した木の枝に突き刺さる... 3つ目は,ガードレールの手前の土手に突っ込む →壁に向かって突っ込むのは怖いけど,土がクッションになって衝撃が和らぐかも とっさに選択したのは3番. 無理に曲がろうとするのはやめて手前の土手に向かって真っ直ぐ進むと何とそこには側溝が... そこでまた脳裏をよぎったのは,“ドブに突っ込んだらホイールはオシャカ,自分も脚の一本は折るかも”ってこと. そこで体が反射的に普段走ってて段差を飛び越えるように側溝を飛び越えた. その向こう側のコンクリート部に着地した衝撃で後輪がバースト. 反動で自分は土手に投げ出されるが,自転車は真っ直ぐ林に突っ込むように投げ捨てた(そう祈って手放した). とにかく自転車が無事だったのは側溝を飛び越えたことに尽きるだろう. そしてまずは頭を守ろうと柔道の受け身のように頭をすくめて転がるように土手に背中から激突. そのまま土手を転げ上がって止まった. こうして文章にしてみると,よくもあんなアクロバティックなことを,しかもハスってから転ぶまでほんの2~3秒の間にできたものだ. どー考えてもあのスピードで突っ込んで体も自転車も無事だなんて奇跡としかいいようがない. 柔道の技が一瞬に決まるってのもこんな感じなんだろうか!? ここまで見事に転べたのはきっと若い頃にスキーの練習やレースで転んだ経験が生きてるのかも. 考えたらスキーで50km以上のスピードで転んだ時もとっさの判断で同じような転びかたをして骨折することもなく,同じように背中の打撲で済んだことがあった. ただその時はむち打ちがちょっとひどく,すぐに病院で首を牽引されたっけ. いずれにしても,転ぶときは自ら転ぶように身に付いてるのは昔野球少年だった頃,ダイビングキャッチやスライディングを死ぬほど繰り返したおかげなのかな. でも転ぶのが上手いなんてのは何の自慢にもならない... それにしても激突する瞬間は“死ぬかも”って思ったけど,すぐに立ち上がれて一安心. “落車したら自分の体よりも自転車を守るかも”とか冗談半分に思ってたけど,実際には自転車なんてどーでもよかった. 自転車を拾い上げるまえにまずは自分の体をチェックした. ヘルメットは全く無傷で頭を打ってないことは確認したし,意識ももちろんはっきりしていた. 脚は折れるどころか擦過傷もホントにわずかなかすり傷で,ジャージもパンツも擦れて汚れてはいたが破れてない. ただ,背中からぶつかった衝撃で首周りと肩がひどく痛んだが何とか動かせた. そうして体が無事なのを確認して自転車を林から拾い上げると,チェーンが外れ食い込んでいて,最初はディレイラーがイカれたかと思ったが,冷静にチェーンを戻すとクランクはちゃんと回った. 全体を見回すと所々土が付いてる程度で全くの無傷. 体が大事とはいえやっぱり大事な大事な自転車が無傷なのにはホッとして体の力が抜けた. で,“もしかして走れる?”と思ったのもつかの間. 後輪が見事にバーストしてペシャンコ. オフィシャルが提供するスペアホイールはシマノだけと知ってたけど,変速しないことはないし,トップかローに入らなくてもいいから無理矢理付けて完走しようかと,次々と目の前を通り過ぎていく無数の自転車を眺めながらしばらく考えた. しかし待てども待てどもスペアホイールを積んだ車が来ない. でも考えたら首を強打していることで,今年5月から7月まで苦しんだ頚椎の痛みを思うと無理するのは得策ではないと判断. それに落車のショックからか,背中を強打したからか軽い吐き気もあって,やはり無理はしない方がよかっただろう. それから2台のオートバイが車輪を積んで通り過ぎたが気づいた時には走り去っていた... S字の下りでこちらも見つけにくいし,向こうも気づいても止まる余裕がないのだろう. それにしても,そのオートバイもそうだけど,役員車,審判車,しかも救護車すらもこちらをチラッと見ながらも一瞬足りとも止まることなく去っていったのには驚いた. いくら下りですぐには止まれないとはいえ,“だいじょうぶか!”くらいの声を掛けてくれてもいいんじゃないのか!?と空しくなった... しばらくしてようやくスペアホイールを積んだ車がちょっと先に止まって駆けつけてくれたが,カンパだと言うと“ゴメンねシマノしかないから”と立ち去ってしまった... そのときには“今更走り出しても完走すら出来ないよ...”と思ってたのでシマノ用ホイールを強奪する気にはなれなかった. そうして1時間近く座ってボーッとしていただろうか.自転車が通らない時間帯は静かであまりにも寂しく不安だったが,そのまま収容車を待ってても仕方ないと思い,しかも落ち着くと痛みが出てきたから応急手当てくらいしてもらおうと,ようやく通りかかった救護車を今度は大きく手を振って止めて,傷口を消毒してもらい,打撲箇所に湿布を貼ってもらった. そのままどっかまで運んでくれるかと思ったら甘く,“後は収容車待ってて”と置き去りに... その後ようやく関係者の車が止まり,状況を説明すると,“収容車はまだまだ当分こないからこの先3kmくらいの補給所まで歩いた方が早いよ”と言われ,こないだ鈴鹿で歩いたばかりなのに“またかよ...”と思いつつトボトボと歩き出した. “3kmは長いなぁ”と思ったがすぐに“そうだ今日はチューブラーだから走れるかも”と思って自転車に跨ると何とか走れる. 前輪のパンクよりも後輪の方がふら付かずに走れるようで,下りだったこともありスムーズに走行. そうして普久川ダムの補給所に辿り着いたが,ゼッケンを剥がされチップを回収されて,ガーゼや湿布して痛々しいはずの俺にも誰もが無関心. 冷たいようだけど,みんなこんなのを見るのは慣れっこなのかな? でもあれだけ大勢の人がいながら誰一人“大丈夫?”と声をかけてくれなかったのはちょっと寂しかった... とまあ落車時の様子はこんな感じ. 思い出すとやっぱり情けないし悔しい気持ちが湧いてくるけど,これを今後の教訓としてまたがんばりなおそう. というわけでまずは栄養補給(こればっか) 今日のパスタは“海のカルボナーラ” カルボナーラと言っても海だけに卵の代わりにウニ,パンチェッタの代わりに牡蠣を使う.どっちのカロリーが高いかは微妙か... 今日の練習は,まだ首が完全に回らないし,真冬のような強い北西の風が吹き,今日もローラーにしようと思ったけど,ここで甘えたら冬中練習しなくなりそうだから夜練に出た. 調子悪ければショートコースにするつもりだったけど,走り出すと寒さも気にならず,脚は休養十分なだけに軽く(沖縄のために調整したのに走れなかったし...),向かい風に真っ向勝負で,いつものTT区間から周回コース3周で42.5kmを平均時速34kmで走りきった. 7回のスプリントポイントも3回の山岳(?)ポイントも全力でもがいて久々に脚が攣る寸前まで追い込んだ. ここまでがんばったのは,沖縄での消化不良の鬱憤晴らしもあるけど,晩飯にこんなモノを食いたかったからなのだ. 沖縄気分が抜けきらず,モニカのリクエストもあって“イカ墨ソーメンチャンプル”などを作ってみた. モニカが明日の仕事を気にしてニンニクを嫌ったからちょっと味気なくなったけど,油も控えめでアッサリとヘルシーにまあまあ美味くできた. でもホントはもっとニンニク利かせたらずっと美味く出来るのになぁ... ついでにニベとやら言う魚の刺身. 見た目は黒鯛に似てたけど,もっとまったりしてコクがあって美味い! 器が変わるとまた気分が変わるし,気に入った器で食うと料理も一層美味くなる. というわけで,もう少し沈んでいたかったんだけどすでに気持ちは復活.
by taka-taca
| 2007-11-15 22:25
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